Goodwood Cafe top / Woody Note top
 ■07年6月25日  都市の空白  (ブログ アーカイブス) ()

 
仙台、いつも通る道を歩いていると、突然右手に見慣れない空間が広がっていた。
おそらく通りに面していたビルが解体されたのだろう。そこにはコンクリートの角柱を切り出した後かのように、四角柱の空間がぽっかりと口を開けていた。
 しかし、その場所に何があったのか、僕は全く思い出せない。
 こういうことは良くある。ある日突然見慣れた風景から何かが消え去っているのだが、そこに何があったのか、どうしても思い出せない。人の記憶やモノの存在など、なんとあやふやかと思う。

 人間の体が日々細胞を入れ替えているのと同じように、都市も休むことなく新陳代謝を繰り返している。おそらくこの場所も、あと数ヶ月もすれば新しいビルが建つのだろう。
 それまでの間、ほんの一瞬生まれたこの空間の前で、僕はたたずんでシャッターを切る。何もないそんな場所に心惹かれるのは、破壊と再生を望む、人間の本能だろうか。



Goodwood Cafe top / Woody Note top